カワウへのテサテープによる送信機装着方法の耐久性
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概要
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鳥類の移動を追跡する方法として,発信機などを背中に背負わせて,その位置を追跡する方法がある.カワウに衛星追跡用の送信機をハーネスによって装着した場合,翼膜がハーネスと擦れて傷になることがある.テサテープにより背中の羽根へ接着することによる送信機の装着であれば,この問題は起きないが,目的の調査期間外れない耐久性があるかどうかはまだわかっていない.そこで,ダミーの送信機をもちいて,この装着方法の耐久性を試験した.半飼育下のカワウ 6羽と,餌付いていた野生のカワウ 4羽に送信機模型を装着し,その装着状態を不定期に観察して脱落までの日数を調査した.その結果,10羽中7羽について10日以下の記録誤差で結果が得られ,最長でも81日であった.したがって,この装着方法では,衛星追跡調査に必要な 3か月から 1年という持続期間を得ることはできなかった.頻度分布を見てみると,30日未満と60日以上の 2山に分かれた.この結果には何らかの個体差が影響したことが考えられるが,原因は明らかにできなかった.換羽期直前の 5,6月に装着した半飼育下の 3羽のうち 2羽で,5日未満という短期で脱落しており,野生個体で換羽期を避けて装着を行なえば装着持続期間を延長できる可能性が示唆された.