DEMATEL法と主成分分析法及びAHP法による韓国における肉用牛経営の波及効果メカニズムと農業情報の重要度評価に関する考察
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概要
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本論文では韓国肉用牛経営を対象として, 情報が肉用牛経営およびそれを巻く環境条件との間でどのような相互関係を備えているか, そして情報機能の充実・強化が肉用牛経営に対して持つ効果をDEMATEL法, 主成分分析法及びAHP法を適用して明らかにした.DEMATEL法による計算結果をみると農民や農業関連機関の担当者との間で肉用牛経営と肉用牛経営を取り巻く環境の間の波及効果の評価は基本的に違いがない. 全ての情報要因は平均値以上の大きな関連度をもっている. しかし, 情報要因の影響度はマイナスで, 影響先要因として位置づけられる. 農民や農業関連機関の担当者は, 肉用牛経営を取り巻く環境は肉用牛に関する情報の充実・強化には影響を与えるが, 作成・公表された情報は, 肉用牛経営やそれを取り巻く環境にあまり大きな効果をもたらさないと考えている. ただし, 情報はその提供・機能充実がある程度は波及効果を与えていていることも明らかになった. このように波及効果を分析するうえで, DEMATEL法は有効であることが確認できた.また, DEMATEL法で計算される総合影響行列を主成分分析にかける方法を提示して, 影響を受ける相手側要因の類似性や, 影響を与える相手側要因の類似性に基づいて, 要因相互間の関係や特徴をより詳細に把握することができた. さらに, AHP法による重要性把握では, 被調査者は波及効果まで考慮して評価していないことが明らかになった.パソコンやインターネットの普及で農業情報の基盤は向上し, 様々な情報が農業関連機関などから提供されているが, その利用はまだ不十分である. 農村のパソコン普及率は韓国内の平均値以下で, それを利用する農民も少ない. その問題を解決するためには情報のネットワーク整備だけではなく, 農民の教育も必要である.