モルヒネ徐放性製剤(顆粒, 細粒)における経管投与時の通過性・付着性の検討
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概要
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経管栄養カテーテルからモルヒネ細粒・顆粒製剤の投与が行われているが, カテーテルの閉塞やカテーテル, シリンジへの付着が問題となっている. そこで, 経管投与可能な4種のモルヒネ製剤(パシーフ®カプセル, カディアン®カプセル, MSツワイスロン®カプセル, モルペス®細粒)と内径が異なる2種類の経管栄養カテーテル(10.5 Fr, 13.5 Fr)と4種の注入剤(精製水, 牛乳, 経腸栄養剤, 嚥下補助ゼリー)にて簡便で正確な投与法を検討した. その結果, パシーフ®カプセルでは, 2種のカテーテルと嚥下補助ゼリー以外の3種の注入剤において, 残存顆粒数にばらつきがあるが有意差は認められず, 嚥下補助ゼリーにおいて有意に少ない結果であった. MSツワイスロン®カプセルは, パシーフ®カプセル同様13.5 Frカテーテルにおいて嚥下補助ゼリー以外の3種の注入剤間での有意差は認められないが, 嚥下補助ゼリーでは有意に少ない結果であった. 一方, 10.5 Frカテーテルと精製水との組み合わせにおいて, カテーテルの閉塞が認められた. この閉塞は, 嚥下補助ゼリーの使用により改善した. カディアン®カプセルでは, 2種のカテーテルと精製水, 牛乳, CZ-Hiのいずれの組み合わせにおいても閉塞を起こすが, 嚥下補助ゼリーでは, 2種のカテーテルで閉塞せずに通過させることが可能であった. モルペス®細粒は, 2種のカテーテルと4種の注入剤のどの組み合わせにおいても, 付着箇所が確認されたが, カゼインを含む注入剤である牛乳, 経腸栄養剤において付着量が少ない傾向にあり, カテーテルの内径の影響より注入剤の影響をより強く受ける結果が得られた. 今回の検討により, 各製剤に合わせた注入剤を選択することで, 医療従事者や患者が在宅で投与する際にも簡便で正確に投与可能な方法を確立できたと考える. Palliat Care Res 2008;3(2):101-107
著者
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加藤 則夫
国立病院機構北海道がんセンター 薬剤科
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高田 慎也
北海道がんセンター 薬剤科
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江口 久恵
四国がんセンター 薬剤科
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加藤 則夫
西仙台病院 薬剤科
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和泉 啓司郎
北海道がんセンター 薬剤科
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