新規キノロン系抗菌薬ガチフロキサシン(ガチフロ錠100mg)の抗菌作用および臨床効果
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概要
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ガチフロキサシン(ガチフロ錠100 mg)は,キノロン環8位にメトキシ基を有する新規キノロン系抗菌薬であり,2002年4月製造承認を得,同年6月に発売された.本剤はグラム陽性および陰性菌,嫌気性菌および非定型菌に対し幅広い抗菌スペクトルを有し,その抗菌力は類薬と比較し特にペニシリン耐性菌を含む肺炎球菌,マイコプラズマ,クラミジアなどの呼吸器感染症の起炎菌に対し優れている.本剤は肺炎球菌およびブドウ球菌のII型トポイソメレースであるDNAジャイレースおよびトポイソメレースIVを強力にかつ菌体内で同程度(dual inhibition)に阻害することにより,強い抗菌活性の発現と耐性化の軽減に結びついていると考えられる.本剤はヒトにおいて経口投与によりほぼ完全に吸収された後,優れた組織移行性と7-8時間の半減期を示しながら,その大部分が未変化体として尿中に排泄される.本剤の有効性は,呼吸器感染症,尿路感染症をはじめとする各種感染症において認められた.細菌学的効果(菌消失率)は,グラム陽性菌で94.1%,グラム陰性菌で90.7%,また嫌気性菌では97.9%であり,特に肺炎球菌の消失率は98.7%と高かった.ガチフロキサシンの臨床試験全体での成績は有効率が91.1%,菌消失率が93.3%であった.これらの臨床成績は,本剤の強い抗菌力と優れた薬物動態学的特性(pharmacokinetics/pharmacodynamics)が反映された結果と考えられる.
- 2003-06-01