多様化する糖尿病治療戦略のための研究基盤
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概要
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糖尿病は遺伝的要因と環境的要因の両方が深く関わって発症する生活習慣病である.その患者数は極めて多く,かつ現在も増え続けている.1920年代にインスリンが,そして50年代にスルホニル尿素薬が発見されて以来,両者は糖尿病治療に広く用いられることになった.しかし,インスリンの使用は患者による日単位の自己注射を強いるし,スルホニル尿素薬の長期使用では膵B細胞の機能障害が示唆されている.これらの問題を解決するために,そして血糖のきめ細かな調節を図るために,糖尿病治療のための多くのアプローチが試みられている.そして,多様化した糖尿病治療戦略は,この疾患の進行はもちろんのこと,患者のQOLを著しく損なう糖尿病合併症の発症をも防げると期待されている.この総説では,糖尿病治療を目指す研究のこれまでとこれからを概述する.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2003-09-01
著者
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