腎性低尿酸血症による運動後急性腎不全の1症例
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概要
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腎性低尿酸血症は,腎における尿酸クリアランスが亢進し尿酸の体内プールが減少している病態である1)。近年本症患者が,運動後急性腎不全を起こしやすいことが明らかになった2)。今回運動後急性腎不全を発症した15歳の男子を経験した。 患者は,3日前運動会の後から腹痛と嘔吐を訴え,昨日から眼瞼浮腫を認め入院した。尿量約2,000ml,体重72.4kg (通常68kg),血圧154/90mmHg。 血清生化学所見: 尿素窒素39.9mg/dl,クレアチニン5.3mg/dl,尿酸4.3mg/dl。 尿所見: 蛋白 (+/-),潜血 (-),糖 (-),尿沈渣異常なし。 非乏尿性急性腎不全と診断し,輸液,安静と塩分制限で治療したところ,腎機能は順調に改善した。回復時に体重は63.6kgとなり,血清尿酸値は0.6mg/dlと低値となった。5カ月後に施行したPyrazinamideとBenzbromarone抑制試験の結果から分泌前再吸収障害型の遺伝性腎性低尿酸血症と診断した。非乏尿性腎不全では血清尿酸値にも注目し,適切な治療と低尿酸血症者に対 して発症予防の指導が必要である。
著者
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辻 美代子
大阪府済生会野江病院小児科
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卯西 元
大阪府済生会野江病院小児科
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須藤 博明
大阪府済生会野江病院 小児科
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辻 美代子
大阪府済生会野江病院 小児科
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卯西 元
大阪府済生会野江病院 小児科