我が国の小児末期腎不全調査 : ―1998年から2002年―
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概要
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1998年から2002年までの5年間の15歳未満末期腎不全患児の新規症例の調査を行った。新しく末期腎不全となるのは毎年約60名前後であった。5年間の年齢別頻度は0〜4歳が108例 (36.5%), 5〜9歳52例 (17.6%), 10〜14歳136例 (45.9%) であった。100万人当たりの年齢別頻度は各年において5〜9歳が最も少なく, 次いで0〜4歳であり, 10〜14歳がもっとも多かった。しかし, 2002年においては0〜4歳が多くなってきており, 今後この傾向が続くのか注意が必要である。性別頻度では各年齢層で男児が女児に比べ多かった。原因疾患は各年齢層において嚢胞・遺伝性・先天性の腎尿路疾患が51%〜65%と多かった。2大原因疾患は異あるいは低形成腎と巣状分節性糸球体硬化症であり, 巣状分節性糸球体硬化症の減少傾向がうかがわれた。pre-emptive kidney transplantation (先行的腎移植) がなされた症例は13例であった。残りの280症例の透析導入方法は腹膜透析が250例 (89.3%), 血液透析30例 (10.7%) であった。Kaplan-Meierでの移植率を見てみると透析導入年で4.3%, 透析導入2年目で29.8%と増加が見られ, 4年後で透析患児の41.3%が移植を受けていた。1例を除き, すべて生体移植であった。Kaplan-Meierでの透析患児の生存率は透析導入年で98.2%, 導入後4年で91.1%であった。死因としては感染症と心血管系疾患が多かった。
- 日本小児腎臓病学会の論文
著者
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服部 新三郎
九州学校検診協議会腎臓専門委員会
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服部 新三郎
日本小児腎臓病学会学術委員会
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吉川 徳茂
日本小児腎臓病学会学術委員会
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市川 家國
日本小児腎臓病学会学術委員会
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本田 雅敬
日本小児腎臓病学会学術委員会
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五十嵐 隆
日本小児腎臓病学会学術委員会
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