「新羅之記録」書誌解題稿
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概要
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『新羅之記録』は,中世・近世初期の蝦夷地(北海道)の様子を今日に伝えている唯一の史料である.明治後期から北方領域を研究する歴史家は,必ず使用してきた史料であり,その重要性は今日でも変わらない.『新羅之記録』は,貴重な史料ではあるが,編纂者が近世期の蝦夷地の大名である松前氏の一族,景広であることから,松前氏の蝦夷地統治が歴史的に正統性を持つように,故意に史実を解釈しているのではないかと指摘されている.それ故,『新羅之記録』自身の史料研究が不可欠であるが,今まで行われてこなかった.小稿では,『新羅之記録』の写本を収集し,書誌事項を明らかにし,簡単ではあるが分類整理を行った.その結果,近代に写本が多く作られ,流布したことが判明した.また,簡略ではあるが写本の系統がみえてきた.更に内容まで踏み込んでの検討が必要ではあるが,その前段階の研究を行ったものである.
- 情報メディア学会の論文