原料油中の微量窒素化合物が水素化分解触媒性能に及ぼす影響

スポンサーリンク

概要

• 論文の詳細を見る

• 原料油中の微量窒素化合物の水素化分解触媒に対する影響を2種類の水素化分解プロセスについて評価した。原料油には窒素化合物を含まない減圧軽油をカルバゾール，トリブチルアミンといったモデル窒素化合物とともに用いた。カルバゾールは難脱窒素化合物であるため水素化処理された油中に多く残存することが知られ，またトリブチルアミンは反応器中で容易にアンモニアに転換される。 二段式水素化分解プロセスの水素化分解触媒に対しては，カルバゾールを数種の濃度で含む減圧軽油を適用し，カルバゾール由来の窒素濃度が水素化分解活性および中間留分収率の双方に対して強い影響を与えることが分かった。特に，窒素濃度が2 wtppm以下の時に大きな影響が見られ，水素化分解活性に関しては高い活性を有する触媒ほど強く被毒効果を受けることが分かった。 一段式水素化分解プロセスの水素化分解触媒は有機窒素化合物およびアンモニア双方の影響を受けるため，その触媒に対する被毒効果をカルバゾールおよびトリブチルアミン由来の窒素総量を300 wtppmに保ちながら数種の比率で組み合わせることにより検討した。カルバゾール比率を増加させた場合，水素化分解活性は低下し，中間留分収率は増加した。その影響は特にカルバゾール由来の窒素量が20 wtppm以下の時に顕著であった。 これらの実験結果から，後段水素化分解反応塔への原料油に関し，分解反応性を大きく損なわずに中間留分選択性を向上させることができる最適な窒素濃度範囲があることが分かった。

• 社団法人石油学会の論文

著者

• 小林 学

  (株)ジャパンエナジー 精製技術センター

• 石田 勝昭

  (株)ジャパンエナジー 精製技術センター

• 小林 学

  （株）ジャパンエナジー 精製技術センター

• 十河 清二

  （株）ジャパンエナジー 精製技術センター

• 石田 勝昭

  （株）ジャパンエナジー 精製技術センター

• 十河 清二

  (株)ジャパンエナジー 精製技術センター

関連論文

• Fischer-Tropsch ワックスの水素化分解・異性化反応によって得られる燃料油留分の性状と分子構造
• Fischer-Tropsch ワックスの分解・異性化により製造した潤滑油基油の粘度特性と分子構造
• ジベンゾチオフェンおよび4,6-ジメチルジベンゾチオフェンの脱硫反応におけるNiMo/Al_2O_3, CoMo/Al_2O_3, NiCoMo/Al_2O_3触媒への硫化水素とアンモニアの阻害効果
• 減圧軽油の水素化脱硫反応における構造変化
• シリカアルミナ粒子径による水素化分解触媒のマクロ細孔構造の制御と水素化分解活性および中間留分選択性に対する影響
• 原料油中の微量窒素化合物が水素化分解触媒性能に及ぼす影響
• GTL油からのガソリン合成 : 水素化分解及び二次改質
• 使い捨て触媒を用いる新規な組合せ重質油分解プロセス

スポンサーリンク