罌粟の二三品種の花色遺傳に就て
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概要
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以上諸實驗の結果は、何れも豫備試驗の結果によりて豫想せる A, B 兩因子の假定の下に期待せる結果とよく一致するを見る、之によりて本研究の成績は之を次の如く總括するを得べし。一) 實驗に用ひたる白、桃、紫の罌粟の花色の遺傳は、桃色の原因をなすA因子及び之と共存する事によりて之を紫色に變ずる能力あるB因子の存在を假定する事によりて説明し得、即ち紫色はAとBとの共存、白色は兩者を缺くか又はBのみありてAを缺き、桃色はAのみありてBを缺く事によりて生ず。二) AとBとは紫色の出現に對し互に所謂補足因子をなすものなるを以て、Aを有する桃花種とBを有する白花種との交雜によりて紫花種を生ず。三) 桃花種は色の濃淡によりて二種を區別し得、一は濃くして純粹桃花種 (AbAb)他は淡くして此純粹桃花種と純粹白花種(abab)との雜種(Abab)に相當するものなり。