放射線感受性大腸菌及び酵母菌の致死率の温度依存性
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概要
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(1) 熱感受性の差異は寿命の温度依存性を第一次の化学反応速度式で整理することにより現象的に扱える. (律速反応が存在する.)(2) 酵母菌 Saccharomyces cerevisiae XS 774-4D (X1s)および大腸菌 E. coli JC 1569b (rec-A1) は熱感受性株である.(3) 致死の活性化エネルギーは JC 1557d と JC 1569b の系統で 97kcal/male (4.2eV) であり, Rec+ あるいは Rec- 株によらず, また定常期あるいは増殖期にもよらない.(4) AB 1157 及び AB 1886 (uvr A) 系統では 78kcal/male (3.4eV) であった.(5) 大腸菌 JC 1557d と JC 1569b (rec-A1) の致死率の差は見かけ上のエントロピー項の違いとして表現される. しかもこの違いは増殖期にのみ見られる.(6) X線感受性株 (rec-) の熱感受性機構は熱による傷害の修復機構の欠如ではなく傷害除去の速度の違いあるいは傷害に対する耐性の違いに起因するものと思われる.
- 日本遺伝学会の論文