台湾居住諸部族の PTC 味覚能力に関する研究 : 第1報
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概要
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台湾省在住の福建系台湾人2,984名, 広東系台湾人1,219名, 台湾原住民族のうち平埔族に属する Siraya 族337名, 高山族に属する Saisiyt 族259名, Bunun 族288名, Rukai 族328名, 総計5,415名についてPTC味覚能力を紙片法によって検査し, 次の結果を得た.1) 味盲の頻度には男女間に有意差がみとめられない.2) 味盲の頻度は Saisiyt 族 (10.8%) と Bunun 族 (10.1%) が最も高く, 平埔族 (7.7%), 福建系台湾人 (5.3%), 広東系台湾人 (4.5%), Rukai 族 (1.5%) の順である3) 福建系と広東系の台湾人の間には有意差がない.4) Siraya 族には大陸系台湾人よりも味盲がやや多いが, 差は有意でない.5) 高山族の味盲頻度には部族間に非常に大きな差があり, 地理的遠近やABO血液型分布との間に相関がなく, 地理的•社会的隔離にもとづく遺伝的浮動の結果と考えられる.