生体観察においてみられた MTK-肉腫細胞の変形運動 (予報)
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概要
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腹水肉腫 MTK-I, -II, -III の3系統の腫瘍細胞を生体観察している間に, 球状をした腫瘍細胞のあるものがその本来の球状の形を変えてアメーバ状の運動を行うことが発見された. この腫瘍細胞の変形は MTK-I では白血球状, -II 及び -III ではその間にいくらかの相異があるが, fibroblast 状に変形する.変形した細胞は温度を低下させるともとの球形にもどり, 温度を上げると再び形を変え始める.変形した腫瘍細胞におけるミトコンドリアは細長い糸状をなし, 球形の腫瘍細胞に比べ顕著な方向性を有し, 原形質流動も活溌に行われている. 又メタクロマジー性の顆粒及び空胞は球形の細胞にお けると同様に存在する.これらの変形する腫瘍細胞は, 退化変性の運命にある細胞ではなくして, 増殖過程にある腫瘍細胞が静止期において何かの原因で現わす, ある種の過渡的な形態ではないかと考える.