ショウジョウバエのアミラーゼに関する遺伝学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) キイロショウジョウバエのアミラーゼ作用は系統間に差異があり, Hikone-AS はOregon-R (iso) に比較してはるかに強い。2) 両系統のF1は両親の中間値を示す。このことからアミラーゼ作用は不完全優性の性質と思われる。また強×弱, 及び弱×強のF1を雌雄別に測定した結果, この性質は伴性遺伝をしないことを知った。3) Hikone-AS 及び Oregon-R (iso) 両系統共卵期におけるアミラーゼは極めて弱く, 幼虫期, 殊に3令期において最も強く, 化蛹と共に急激に減少し, 以後は成虫期まで殆んど一定の力価を保っている。4) 幼虫と成虫から体液及び消化液をそれぞれ分離して測定した結果ではショウジョウバエのアミラーゼに関する遺伝子はその両液の酵素作用を支配するものと思われる。5) 澱粉欠乏培地に澱粉及び各種の糖類を添加したものでは, 澱粉を加えた培地に飼育して得られたF1及びF2の成虫のアミラーゼは大である。おそらく澱粉がアミラーゼの inducerとして働くのであろう。