シロネズミにおける排卵, 主として性腺刺激ホルモンによる人爲排卵に関する二三の観察
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概要
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シロネズミ (Rattus norvegicus) の正常排卵および性腺刺激ホルモンによる人為的排卵について観察した。288個体について観察した性週期は平均して発情前期13.5時間, 発情期25.3時間, 発情後期13.3時間, 発情間期56.5時間で, 総計して1週期は108.7時間 (約4.5日) である。排卵は発情期の後半に行われ, 1回の排卵数は12個体からの平均で8.8個である。成体雌に15-30家兎単位のヒポホリン (脳下垂体前葉製剤) を2〜3回にわけて投与した1個体において, 左右卵巣から合計40個の多数排卵をみた。投与時期は発情間期の後半から発情前期の間が好適と考えられる。発情期から発情間期にかけてはヒポホリンは効果をもたないようである。膣開口の行われていない幼若個体にヒポホリン2〜10家兎単位を投与すると, 15〜20時間後に排卵が行われた。この場合, 排卵数は自然排卵に比してやや少ない。自然排卵の場合においても, 人為的排卵の場合にあっても, 排卵過程や卵子の形態には変化はない。細胞学的にも十分成熟しており, いずれの卵子も第二成熟分裂の中期にあった。性腺刺激ホルモンの作用は排卵を誘起するばかりでなく排卵前に濾胞の成熟を促進する機能をももっているようである。
- 日本遺伝学会の論文