Thio-TEPA のネズミ腹水腫瘍に及ぼす細胞学的影響
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概要
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1) Ethyleneimine 系誘導体の Thio-TEPA (triethylene thiophosphoramide Tespamin) のシロネズミ MTK- 肉腫 III およびハツカネズミ EM- 腹水腫瘍に及ぼす作用を細胞学的および形態学的に追求した。2) Thio-TEPA の作用はまず休止期細胞に働き, 細胞の分裂を抑制しその正常な代謝機能を失わせる。その結果, 染色体の構造に変化を与え異常分裂を誘起し, 休止期細胞にあっては核や細胞質の極端な膨潤や染色性の著しい低下, 小核 (micro-nucleus) や分葉核の増加, および細胞質における顆粒状の空胞形成などの異常を生ずる。また, 分裂中期の染色体における切断, 転座および融着, 後期の染色体橋形成や遅退などが著しい。そしてついには腫瘍細胞の崩壊がみられるに至る。3) 浸潤部位の腫瘍細胞の中にも核の崩壊した細胞がみられるが, 薬物の作用から免れて生き残っている残存腫瘍細胞が観察される。それらは腫瘍の再発に関与するものと考えられる。4) MTK- 肉腫 III においては 1mg/kg 投与では対照に比して腫瘍動物の延命効果はあまり顕著ではなかったが, 投与量の増加に伴う生存日数の増加や治癒した実験個体がみられた。ハツカネズミの EM- 腫瘍では延命効果はほとんど認められなかった。これは腫瘍の悪性度に関係していると思われる。
- 日本遺伝学会の論文
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