有毒植物抽出溶液の分裂細胞におよぼす影響 : III. テンナンショウ (Arisaema japonicum) 抽出液による 花粉母細胞分裂の異常
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概要
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Arisaema japonicum 塊茎の水抽出液を Trillium kamtschaticum の花粉母細胞 (leptotene, diplotene, diakinesis, および metaphase) に作用せしめて, 次の知見が得られた。A) 処理直後の観察。1) 前期における核が, 均一なる染色質の塊りとなる現象がみられた。2) 前期の終り頃の染色体の clumping, および第1中期での染色体の clotting がみられた。3) 第1中期および後期の染色体の stickiness, および over-colltraction が出現した。B) 処理後時間の経過せるものでの観察。1) 第1終期において, 2核 (2極染色体群) の接近せる異常型 (aggregative 型) が高頻度にみられた。2) 第1後期において, 染色体の不均等分離現象が少数ながらみられた。3) 第1終期において, 1個の一価染色体の遅滞が多く出現した。dihydro-streptomycin sulfate 処理の結果 (Ohno & Tanihuzi 未発表) と比較して論じられた。4) 第1終期において, 1極側の5本の染色体が収斂しない像, および5本中の 2〜3 個が極群より離脱し散在する像 (dispersive I) が観察された。さらにすべての一価染色体(10個) が一様に細胞内に散在する像 (dispersive II) もみられた。5) 第1終期におけるを遅滞染色体の出現様式, および4) に述べられた異常型のそれ等から, この抽出液の作用は完成された極の機能を阻害または停止させるものと推論した。6) 第1終期および中間期, さらに第2中期での隔膜形成の異常も観察された。
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