PCMB, BAL, Isomytal およあび sodium azide の HeLa 細胞に及ぼす細胞学的影響
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概要
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PCMB, BAL, Isomytal, NaN3 及び Tween 20 の HeLa細胞に及ぼす影響を細胞学的に調査した。PCMB 及び BAL は単独で処理した場合, 分裂細胞に対して急激な影響を与えた。その特徴は, 中期細胞に対しては染色体の粘着化, 凝集, 後期細胞に対しては染色体散乱, 染色体橋形成等であった。静止期細胞に対しては比較的緩慢な影響を及ぼした。即ち PCMB の影響は細胞質の著しい泡沫化, 核内の MGG で黒紫色に染まる顆粒の出現とそれに伴なう核の凝縮等で, 一定時間経過すると, 殆んど全ての細胞が一斉に崩壊してしまう。一方 BAL の影響は PCMB とは似ているが, 細胞集団の周囲から徐々に影響が内部に及ぶことが観察された。PCMB の影響は酵素の活性 -SH 基の阻害による酵素の不活性化によると考えられる。BAL の影響は, その強力な還元力によるものであろう。PCMB (0.05mg/ml) と BAL (0.001mg/ml) を混合して処理すると, HeLa 細胞には殆んど影響が見られなかった。これは, 両試薬間に拮抗作用があることを示している。Isomytal, NaN3 及び Tween 20 は静止期及び分裂細胞, 特に分裂中期細胞に影響を与えた。