大豆の子葉及び種皮の葉緑體に關する遺傳に就て
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概要
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(1) 大豆の種子子葉 (完熟せる種子に於ける子葉)、發芽子葉 (幼植物に於ける子葉)、及び種皮の葉緑體に就きては次の四種の型を識別する事を得。即 (I)三者皆緑なるもの、(II) 種子子葉黄にして發芽子葉及び種皮緑なるもの、(III) 種子子葉及種皮黄にして發芽子葉緑なるもの、(IV) 三者共に黄なるもの。(2) 前掲の各型に該當せる大豆品種を用ひて總數21組の交配を行ひ、種子子葉、發芽子葉、及び種皮の葉緑體に關する遺傳樣式を檢したり。(3) 交配實驗の結果は次の理論と適合することを認む。即大豆には不黄變性葉緑體 (G) と黄變性葉緑體 (Y) とが存在するものにして、其の差異はプラスチツドの差異に基因するが故に母親のみより遺傳す。尚別に大豆の葉緑體に關係せる二個のメンデル式遺傳因子H及びC有り、而して此の二者の何れも存在せざる場合は、前掲二種の葉緑體の何れの場合に於ても、葉緑素の形成を著しく不良ならしめ種子子葉、發芽子葉、及び種皮皆黄色なるもの即「黄色型」を生ず。H又はCの一つ又は兩者共に存在する場合は、葉緑素の形成普通にして發芽子葉緑なり。而して其場合に於て不黄變性葉緑體 (G) を有するものは種子子葉及び種皮共に緑なり。之に反し黄變性葉緑體 (Y) を有するものは種子子葉黄にして、若しHが存在せば種皮緑となりHが存在せざれば (即hを有すれば) 種皮黄となる。即HはCと共に前掲の葉緑素形成に對する duplicate genes を構成する外尚種皮の黄變現象を抑止するものとす。但し此の黄種皮の黄變抑止作用は黄葉型以外のものにして黄變性葉緑體を有するものに於てのみ表現せらるゝものとす。
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