ISO22000
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
規格の名称は「食品安全マネジメントシステム−フードチェーンの組織に対する要求事項」.デンマークにより2001年に提案され,2005年9月に発行された.「ハザード分析及び重要管理点」(HACCP)システムの原則及びコーデックス委員会が作成した適用の手順並びに食品に対する管理の要求事項を統一することによって,円滑な国際貿易と食品の衛生管理の国際的な均質化を目的としている.この規格は,食品安全マネジメントシステム(FSMS)について,(1) 相互コミュニケーション(相互に連絡を取り,活動を進めること),(2)システムマネジメント(仕組みで保証すること),(3)前提条件プログラム(安全衛生条件を維持するために必要な基本条件,そしてこれを守ること),(4)HACCP原則(7原則12手順により食品の安全を確保すること),の主要素を組み合わせ,HACCPシステム適用の手順及び食品管理に対する要求事項を統合し,フードチェーン内で発生することが予測されるすべてのハザードを明確にし,評価することを求めている.この規格は,規模及び複雑さを問わず,飼料生産者,収穫者,農家,材料の生産業者,食品製造業者,小売業者,小売業者,食品サービス業者,ケータリング業者,清掃・洗浄及び殺菌・消毒サービス業者,輸送・保管及び配送サービスを提供する組織などフードチェーンのあらゆる組織を対象としている.規格の構成は品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO9001と同様である.食品安全マネジメントシステムを構築するための具体的な手順は規格の第7章,8章に記述されており,ハザード分析を行うことにより,前提条件プログラム(PRP)(食品の汚染を防止するために必要な基本条件及び活動),オペレーションPRP(食品の汚染を防止するため不可欠な条件及び活動)及びHACCPプラン(食品の安全のために重要であるハザードを明確にし,評価し,管理するシステム)の組み合わせによってハザード管理を確実にすることが求められている.ISO22000は,第三者認証が可能な規格であるが,この認証はシステムの能力に対して行われるものであり,認証を取得した組織の製品が絶対安全であることを保証するものではない.この規格は,失敗を起こしにくい組織づくりを目指すとともに,万一,安全でない恐れのある食品を出荷させてしまったとしても,すぐ回収を行える体制が整っており,原因究明が的確に行われ,再発防止策が講じられるような組織の実現を目指している.なお,関連する規格として,ISO/TS 22003「食品安全マネジメントシステムの認証機関のための要求事項」(発行予定)及びISO/TS 22004「食品安全マネジメントシステム—ISO22000 : 2005の適用のための指針」(2005年11月発行)がある.
- 2006-07-15