肥満患者における腹腔鏡下胆嚢摘出術の経験
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概要
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近年, 肥満者が増え, 手術が必要な胆嚢結石症例が増加している. 今回, 腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た肥満胆石症例を経験したので報告する. 症例は57歳, 女性. 身長154cm, 体重118kgで, BMI49.8であった. 心筋梗塞, 心不全の既往があり, 高コレステロール血症, 耐糖能生異常を有していた. 右側腹部痛を主訴に来院した. 腹部CT, 腹部超音波, MRCPにて, 胆嚢結石症, 胆嚢炎と診断され, 手術目的に入院となった. 全身麻酔下に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った. (1) 心, 腎保護目的の, ニコランジル, 塩酸ドパミンの持続静注, (2) 血栓予防の弾性ストッキング, 間欠的空気圧迫装置の使用, (3) 術野からの距離が遠くならないよう, カメラ用第1ポートの臍上部への留置, (4) 第2~第4ポ- トに長さ150mmのポートを使用, (5) ポート留置前, 角度と長さを確認するため22Gカテラン針による試験穿刺, などを肥満手術対策として行った. 手術時間は111分, 出血量は少量であった. 経過は良好で, 第4病日に退院となった. 肥満症例では, 開腹手術で行った場合, 視野を確保するには大きな創になることが予想される. 本症例の経験から, 肥満症例に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術は, 侵襲が少なく有益な手術であると思われた.
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