水田転換畑における不耕起ダイズの生育に及ぼす降水の影響
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概要
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水田転換畑において,異なる降水条件下で生育した不耕起ダイズの乾物生産過程を耕起ダイズと比較することで,不耕起ダイズの生育特性を降水量の多少と関連付けて検討した。試験は播種から開花期までの降水量が大きく異なる2009年と2010年に行った。2009年は,2010年と比較して,播種から開花期までの降水の頻度が著しく高く総降水量も多かった。2009年は,耕起と比較して不耕起で,播種から開花期まで土壌水分含量が高く維持された。不耕起ダイズの主茎長,主茎節数,開花期以降の地上部乾物重は,2009年には耕起ダイズと比較して抑制されていたが,2010年は耕起ダイズと比較して旺盛であった。特に,地上部乾物重の増加が著しい開花期から着莢期の個体群成長速度(CGR)および純同化率(NAR)に,年次と耕起法間で有意な交互作用が認められた。その要因のひとつとして,2009年は不耕起で土壌の過湿が著しかったため,耕起と比較して不耕起で,開花期の葉身窒素含有率が有意に低くなったことが考えられた。一方,2010 年では,開花期と着莢期の葉身窒素含有率および根粒の窒素固定活性は耕起法間で変わらず,CGRおよびNARが耕起と比較して不耕起で有意に高かった理由は明らかではなかった。以上のことから,播種から開花期までの降水量が少ない年には,開花期以降の不耕起ダイズの生育は耕起と比較して旺盛となるが,播種から開花期までの降水量が多い年には,開花期以降の不耕起ダイズの生育は耕起と比較して抑制されることが示された。
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