「満州」幻想の成立過程--いわゆる「特殊感情」について
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概要
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満州は、かつて政治的には日本と「特殊の関係」を持つ地域とされた。また「赤い夕日」の「郷愁」に象徴されるように、日本人にとって「特殊の感情」を懐かせる土地でもあった。この特殊の関係・感情とはなにか、また歴史的にはいつ、どのように形成されていったかを、本稿において検証する。 日本人の満州に対する特殊な感情は、決して古いものではない。日露戦争以降、満州への進出という国策の下で生まれたもので、「特殊権益」の意識の上に築かれた政治意識であった。また、日本人の満州体験は実際、おびただしい殺戮、流血、差別、家族離散などの苦痛を伴うものであり、それを「赤い夕日」のロマンチシズムに仕上げたのは文化の創造力によるものであり、また戦後の平和な時代における追体験だったと本稿は主張する。
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