美人の効能--井上章一「美人論」を手がかりに
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概要
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井上章一の「美人論」を手がかりとして、美人という社会的存在を考える。井上は「美人」を記号としてとらえ、美人記号が社会的にどのように扱われてきたかを日本社会の近代化の過程に即して分析している。 本稿では、これをさらに進めて、美人という記号を対人関係における資源として考え、記号を通した対人関係のポリティックスを考える。ここで、E.Goffmanによって指摘されている"action"と"expression"の区分での"expression"として「美人記号」を考えることで、美人記号の付与が対人関係にどのように関わっているかを考えることが可能となる。記号の付与の構造が男性と女性では同一ではないことは明らかであり、この構造を論じる。 さらに、"action"としてのジェンダーと"expression"としてのジェンダーを区分することで、対人関係における記号レベルでの定型表現としてのコケットリーの復権を問題とする。
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