資産の考慮による要保護世帯率の変動 : 保護率の地域差と資産保有の関係
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概要
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会長講演特集 : 貧困・低所得世帯の実証分析 : 貧困問題 : 何がどこまで明らかになったのか総務省『全国消費実態調査(2004年)』の個票を用い, ①被保護世帯に対する資産保有条件を緩めた場合, 実際の保護率がどの程度, 変動する可能性があるのか, さらに②実際の保護率の地域差がどのような要因から生じているのか, 貯蓄ばかりでなく乗用車・住宅保有などさまざまな種類の資産保有の制限といった側面からも分析・検討した。分析により, 2つのことが明らかになった。第一に, 壮年(30~49歳)世帯主世帯, 多人数世帯, 二世代ひとり親同居世帯, 夫婦と子ども世帯では, 一定程度の純貯蓄を認めても, 所得基準のみに基づく仮想的な要保護世帯率の増減幅は相対的に小さい。第二に, 貯蓄額や乗用車保有をどこまで認めるかにより, 所得基準のみに基づく仮想的な要保護世帯率の地域差の大部分が説明可能である。生活保護制度の目的である自立助長のため, 資産保有条件をどこまで緩和するか今後慎重な議論が必要である。
- 慶應義塾経済学会の論文
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