若年女性及び女子大学生の貧血の検討
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概要
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近年本邦では,女性の貧血頻度が増加していることが報告されているが,私たちは若年女性の貧血の調査のため,女子大学生集団の貧血の経年的調査を他の若年女性集団のそれと比較検討した。対象は4年間にわたる看護大学の女子学生,赤十字血液センターの女性献血申込者(18 ~ 29 歳),および病院の人間ドックの女性受診者(20 ~ 29 歳)であった。3集団の末梢血液検査の平均値はほぼ同じであったが,貧血罹患率には差がみられた。女子大学生集団では,各年度でHb 濃度の平均値に差はみられず,入学年度別にみた平均Hb 値や入学後の変動には一定の傾向は認められなかった。また入学年度別の貧血学生の割合は,5.1 ~ 19.7%と頻度差が認められたが,入学後の経年変化には一定の傾向はみられなかった。次に,献血申込者での貧血の頻度をみると,全体では6.5%で,なかでも大学生は3.8%と低い頻度であった。これは献血希望者という特定の集団を反映しているためであると推測された。さらに,人間ドックの20歳代女性の貧血女性の割合は,12.9%であった。女子大学生と献血希望者の貧血者の赤血球指数の平均値はいずれも小球性低色素性貧血を示していたのに対して,人間ドック利用者のそれはほぼ正常範囲内であった。前2グループの貧血の成因は鉄欠乏性貧血がその主因として考えられた。 今回の調査を,他の貧血調査報告と比較してみると,私達の対象集団では貧血有病率が低かった。これは,私たちが特定の健康女性集団を対象にしたためであると考えられた。今後,対照集団のより長期にわたる経年変動を調査していく予定である。
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日本赤十字広島看護大学 | 論文
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