北海道東部における初冬のホッチャレ消費者
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概要
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高緯度域では遡河性魚類によって河川に輸送される海洋由来栄養塩(Marine derived nutrient:MDN)が河川内および河畔域の生物群集に影響を与えているとされる。本研究では北海道東部の森林河川上流部において初冬にシロザケ死骸(ホッチャレ)を約800kg散布し,ホッチャレの消費者を明らかにした。散布した死骸は10日間でほとんどすべて消費された。自動撮影された画像から,消費者はカラス類が優占しており,トビおよびオオワシを含めて鳥類が96%を占めた。カラス類は近隣の牧場で越冬している個体が移動したと思われた。自動撮影された画像では,カラス類の摂食は少なくともホッチャレの一部が水面上に露出した場合に限られていたのに対して,オオワシは水面下のホッチャレも摂食した。集水域の周囲の土地利用や河川の水深および河道形状がホッチャレの消費者組成に影響することが示唆された。鳥類は,秋にMDNを輸送するクマとは行動範囲や摂食パターンが異なるため,初冬にシロザケが遡上する河川では,MDNの散布距離や散布量が秋とは異なることが考えられる。
- 2012-09-00
著者
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