三宅島における園芸用パイプハウス部材の錆による切り葉への傷害
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概要
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三宅島において切り葉用に生産されているコルジリーネに,原因不明の褐色不定形斑が葉に発生する現象がみとめられた。葉の傷害部位には白色結晶状の物質が付着しており,状況からパイプハウス部材の白錆が結露などに溶け込み,作物に落下したものと推定した。採取した結晶状物質を希釈し,作物葉に滴下処理したところ症状が再現された。結晶状物質には,通常の白錆成分には含まれない塩基性塩化亜鉛(Zn5(OH)8Cl2・H2O)および硫酸亜鉛(ZnSO4)が含まれており,それらの試薬を用いて再現試験を行ったところ,それぞれに褐色不定形斑が形成された。また,硫酸亜鉛では葉に結晶状物質が残った。三宅島における作物への褐色不定形斑は,海塩粒子の存在下で生成されやすい塩基性塩化亜鉛および火山ガスに起因する硫酸亜鉛が主要因であり,白錆が結露水に溶け込み,作物体に付着することで発現した可能性が高い。
- 2012-03-00