RAPD分析に基くイワナ2亜種,ゴギとニッコウイワナの地理的分布境界の推定
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概要
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RAPD分析に基づき,日本海流入河川のイワナ2亜種,ゴギとニッコウイワナに特異的な遺伝子型の分布を調べることにより,両者の分布境界を推定した。計16断片が増幅され,1個体から7-14バンドが検出されたが、ゴギあるいはニッコウイワナにのみ特異的なバンドは見られなかった。ゴギ,ニッコウイワナ各々9,15のハプロタイプが見られ,これらのうち,2タイプのみが両亜種共通であった。両者が混棲する可能性がある中間域では24ハプロタイプが見られ,これらのうち,5,9タイプがそれぞれゴギ、ニッコウイワナ特異的であった。ゴギ特異的タイプは鳥取県勝田川が東限,ニッコウイワナ特異的タイプは鳥取県日野川が西限であった。日野川水系では17ハプロタイプが見られ,それらのうち,3,7タイプがそれぞれゴギ,ニッコウイワナ特異的であった。クラドグラムではゴギあるいはニッコウイワナ特異的タイプのみからなる大きなクレードは形成されなかった。これらは,ゴギは東方へ,ニッコウイワナは西方へ分布を広げ,その際に大山山塊が両者にとって分布拡大の障壁となったことを示唆する。
- 2011-12-00