黒毛和種繁殖牛にみられたトリパノソーマ病と地方病性牛白血病の混合発症例
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概要
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7歳齢,妊娠8カ月の黒毛和種牛1頭が貧血,発熱,水様下痢,削痩を呈し流産後に死亡した。血液塗抹においてトリパノソーマ様原虫が検出され,形態的特徴及びトリパノソーマ原虫種鑑別のためのPCRの結果から,Trypanosoma(T。)theileriと同定された。他の血液原虫は検出されなかった。病理検査では全身リンパ節と脾臓の腫大がみられ,主要臓器及びリンパ節にリンパ球様細胞の腫瘍性増殖が認められた。リンパ節のPCRで牛白血病ウイルス(BLV)遺伝子陽性,血清の抗BLV抗体弱陽性であった。以上より本症例をトリパノソーマ病と地方病性牛白血病(EBL)の混合発症と診断した。高齢,妊娠ストレスとともにEBL発症や何らかの細菌感染などによる体力の低下が誘因となり,潜伏していたT。 theileriが増殖して発症した事例と考えられた。T。 theileriの増殖がEBLの病態をさらに進行させたことも可能性として考えられた。
- 日本獸医師会の論文
- 2011-12-00
日本獸医師会 | 論文
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