長野県内保険者の国保老人医療費と介護費の地域差の動向
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概要
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背景:老人医療費と介護費の適正化のために、保健・医療・福祉施策の充実が求められている。その基礎資料として、平成13年度から19年度までの長野県内保険者の老人医療費と介護費の一人当たり費用額に関する地域差の動向を明らかにすることを目的とした。方法:長野県内保険者の66団体を対象に、平成13年度から19年度までの各年度の国民健康保険老人一人当たり医療費と介護保険第1号被保険者一人当たり介護費、及び、これらを同年度の県の値で除した国保老人医療費対県平均指数、介護費対県平均指数のデータを用いて、県全体の費用額と県内保険者の地域差の動向を明らかにした。次に、両指数の変動係数の大きさと人口規模との関係、移動平均の必要性を検討し、いくつかの事例について指数の動向を観察した。また、平成17年の横断的なデータから、両指数と人口、高齢化、介護認定割合との回帰分析を行った。結果:長野県内において、一人当たり老人医療費は全体的な増加と地域差の拡大、一人当たり介護費は全体的な増加と地域差の縮小が見られた。両指数は、人口規模が小さい保険者ほど変動係数が大きかったが、単年度データの長期的な追跡によって一定の傾向が観察された。また、高齢化は国保老人医療費対県平均指数と負の相関、介護費対県平均指数と正の相関を示したが、介護認定割合は両指数と正の相関を示した。考察:指数は、費用額に影響する全体の変化を考慮できるため、地域差の動向を観察するうえで有用と考えられた。人口規模が小さいほど変動は大きく、不安定な変化が起こりやすいが、指数の単年度データでも長期の追跡で概ね傾向を読み取ることができた。今後は、年代別の人口構成等を考慮しつつ、地域差に関連する要因を明らかにして、地域で取り組むべき老人医療費と介護費の適正化や保健・医療・福祉施策の充実に資する知見につなげるための更なる研究が必要である。
- 信州公衆衛生学会の論文
- 2010-04-00
信州公衆衛生学会 | 論文
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