青森県日本海海域におけるヒラメの年齢と成長
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概要
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青森県日本海海域で漁獲されたヒラメについて,耳石薄片法を用いた年齢査定によって,年齢と成長を明らかにした. 1 不透明帯が縁辺に形成されている個体は3~6月に出現し,11~2月に全く見られなかった. 2 漁獲物から得られた試料の年齢と全長の関係から,以下のような成長式が得られた. 雄:L1=1010(1-exp(-0.100(t+2.634)))(r2=0.660)雌:L1=917(1-exp(-0.238(t+0.520)))(r2=0.811) 3 桁網によって採集されたヒラメ当歳魚平均全長は8月に安定しており,8月1日の平均的な全長を求めるため,一次線形式,指数式,累乗式,多項式,対数式を当てはめ,最も回帰係数が高かった累乗式を以下のように近似させた. Y=0.0824×X308 r2=0.725 Yは平均全長,Xは月数である. この式によって本海域における8月1日の平均的な全長が49.9mmであると推定された. 4 全長データに当てはめる成長式が,孵化後2ヶ月(0.167歳)に49.9mmの点を通るようにして,以下のような成長式を得た. 雄:Lt=493(1-exp(-0.589(t-0.l67)))+49.9(r2=0.539)雌:Lt=786(1-exp(-0.332(t-0.l67)))+49.9(r2=0.803) 5 今回,2種類の成長式を求めた. 一つは漁獲物のみ,もう一つは着底時(孵化後2ヶ月)の全長を考慮したものである.前者は,青森県で全長35cm以上の漁獲制限を開始して以来,初めて示した漁獲物の成長式であり,前者の成長式及び、Age-length keyを用いて本海域での年齢別漁獲尾数を推定することが可能となった.一方,これまで当海域での成長過程については不明瞭であったが,今回後者の成長式を求めたことで,最近年の当海域における実際のヒラメの成長過程を示すことができた.
- 2011-10-00