冬季イタリアンライグラスの生育・栄養価に及ぼす播種時期の影響
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概要
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イタリアンライグラスを用いた冬季放牧技術の確立を目的に,冬季イタリアンライグラスの草量・栄養価に及ぼす播種時期の影響を検討すると共に,実際に冬季放牧を実施して,放牧牛への影響を検討した. 冬季のイタリアンライグラスは,播種時期が早いほど草量は多くなり,逆に可消化養分総量(TDN)などの栄養価は播種時期が早いほど低くなる傾向が認められた.早播のイタリアンライグラス草地で黒毛和種経産牛を冬季放牧した場合,体重の有意な変動は認められず,また血液性状にも問題は認められなかった.標準播のイタリアンライグラス草地での冬季放牧においては,体重は2ヶ月で約50kg増加したが,放牧草中の非繊維性炭水化物(NFC)の蓄積が原因と推察される血中尿素態窒素(BUN)の低下が認められた. しかしながら,長期的なタンパク質代謝の指標となるアルブミン(ALB)には変動が認められず, BUNの値も適正値とされる範囲にとどまっていたことから,標準播イタリアンライグラスを用いた放牧においてもタンパク質不足は生じていないものと考えられた. これらのことから,播種時期の違いは,冬季のイタリアンライグラスの生育・栄養価に大きな影響を与えることが明らかとなり,播種時期の選択は,放牧対象となる牛に適した栄養価の草を生産する上で,戦略的に利用できるものと考えられた.
- 近畿中国四国農業研究協議会の論文
- 2011-03-00