血清学的手法のトマト黄化葉巻病の診断への適用
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概要
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安価で信頼性のある診断法を確立するため,血清学的手法,すなわちELISA,RIPA,IC-PCR検定をトマト黄化葉巻病の診断に適用した. まずTYLCVを純化し,兎に免疫し抗血清を得た. 抗血清からIgGを精製しそれぞれの手法に適用した. 1. ウエスタンブロット解析の結果より,本IgGはTYLCVの系統にかかわらず反応する一方, TbLCJVには反応せず,血清学的診断法に使用可能であると考えられた. 2. 本IgGをDAS-ELISAとF(ab')2-ELISAに適用した. TYLCV感染トマト葉磨砕液での検出希釈限界はDAS-ELISAで6400倍,F(ab')2-ELISAで12800倍であり,F(ab')2-ELISAの感度が高かった. 3. F(ab')2-ELISAはタバココナジラミの保毒検定が可能であった. また,トマト新葉部での発症2~6目前に診断が可能であった. これらの結果よりF(ab')2-ELISA は,実用性があると判断された. 4.また,本IgGをIC-PCR検定に適用した. TYLCV感染トマト葉磨砕液での検出希釈限界は107倍であった. 通常のPCR検定時に行われるDNA精製のための煩雑な作業,そして有機溶媒や遠心器等高額機材の使用が不要なため省力的であり,多試料検定にも有効であると考えられた. 5.さらに本IgGをRIPAに適用した. TYLCV感染トマト葉磨砕液での検出希釈限界は3200倍であった. 検出感度はF(ab')2-ELISA の1/4と劣るものの,F(ab')2-ELISAと同等の発症前診断が可能であったことから実用的な診断には有効と考えられた. 現場圃場での検定のため,ハンマーを用いた簡易な検体磨砕法を考案した. 以上の結果より,多試料および保毒虫の検定にはF(ab')2-ELISAやIC-PCR検定が,圃場現場での迅速な診断にはRIPAがそれぞれ適していた.
- 2011-02-00
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