ウンシュウミカンの減農薬防除体系
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概要
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ウンシュウミカンのエコファーマーや特別栽培等の減農薬栽培を支援するため、場内ほ場に実証園を設け病害虫の発生状況や果実の被害状況を比較調査した。1.梅雨時期と秋雨時期にマンゼブ剤と、その他の時期に無機銅剤を散布した減農薬1区は、黒点病の伝染源である枯れ枝除去に関わらず、発病度6以下に抑えた。また、マンゼブ剤を更に削減した減農薬2区および無防除区の発病度は、枯枝除去した方が明らかに低く抑えられた。各区薬剤の散布時期で異なるが枯枝除去併用で黒点病の初発時期が遅くなった。2.梅雨時期と秋雨時期にマンゼブ剤と、その他の時期に無機銅剤を散布した減農薬1区に、白色透湿性シートを併用すると発病度3.7を示し、高い防除効果が得られた。無防除区における白色透湿性シート被覆の効果は、やや低く枯枝除去の方がやや優れた、両方を併用すると効果はやや高まった。3.枯れ枝発生量は7月と8月の合計が全体の60%を占めた。5月から11月まで無防除区に白色透湿性シートを被覆すると、その期間の枯れ枝発生量を42%減らした。4.黒点病を対象として夏期に無機銅剤を散布した減農薬1区、減農薬2区の果実に薬害:スターメラノーズがみられたが、収穫期の発生程度は非常に軽微で問題とならないレベルであった。5.緑かび病による腐敗果は無防除区が最も多く発病した。また、白色透湿性シート被覆すると緑かび病の累積腐敗果数が減少、梅雨時期と秋雨時期にマンゼブ剤と、その他の時期に無機銅剤を散布した減農薬1区が最も少なかった。6.減農薬防除区にみられる害虫は、全般に少発生でミカンハダニやアブラムシに対する天敵類は、みられたが少なかった。7.減農薬防除区で果実被害に大きく影響した害虫は、カイガラムシ類やミカンサビダニであり、ミカンサビダニは摘果で減らせられる程度であった。また、カイガラムシ類を対象とした防除は、マシン油乳剤による防除が優れ、減農薬防除体系には必要な防除であった。8.この減農薬防除体系は無機銅剤を連用するため、ミカンサビダニの発生に応じ、水和硫黄か殺ダニ剤を用いた防除が必要と思われた。9.減農薬防除区への白色透湿性シート被覆によりチャノキイロアザミウマの誘殺頭数は少なく実被害に及ばなかった。
- 和歌山県農林水産総合技術センターの論文
- 2010-03-00
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