間伐材を用いた接着重ね梁の製造と性能評価
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概要
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県産スギ間伐材の構造用途への利用を図るため、高温セット法により乾燥した柱角材を2本積層した接着重ね梁について、強度等級区分による製造技術と各種実大強度性能試験および集成材JASの接着性能試験を行った。接着重ね梁の強度性能は高温乾燥の影響もあり、曲げ強度とめり込み強度で無等級製材の基準強度を下回る結果となったが、引張り強度、圧縮強度およびせん断強度は、無等級製材の基準強度と同等の性能が確認された。また、接着重ね梁の曲げ強度と曲げヤング率との間には、高い相関が認められたが、圧縮強度、めり込み強度および引張り強度と動的ヤング率との相関は低く、動的ヤング率を用いた機械等級区分は難しいと考えられた。一方、接着性能は、浸せきはく離試験および常態接着力であるブロックせん断試験では基準を満たしたが、厳しい劣化促進条件である煮沸はく離試験および減圧加圧はく離試験では、はく離発生率が高く、十分な接着力が得られなかった。板材を多層接着するため膨潤・収縮によって生じる応力が分散される集成材に比べて、2本の正角材を接着した重ね梁では、より大きな応力が生じることが考えられ、今後の実用化にあたっては、厳密な接着工程管理に基づく構造用集成材規格の適用、あるいは接着重ね梁という材料特性を踏まえて、新たな判定基準を設けることも妥当と思われた。
- 富山県農林水産総合技術センター木材研究所の論文
- 2010-03-00
富山県農林水産総合技術センター木材研究所 | 論文
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