メコン河流域における水文気象観測網の現状と課題
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概要
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メコン河流域の水文気象観測網や流量観測網から得られる情報は、メコン河流域の開発を考える際の基礎となる。しかし、1950年代後半ないしは1960年代初めから開始された同流域におけるフランス、アメリカ、日本などの技術・経済協力にもかかわらず、インドシナ半島における戦争やその後の内乱のために、観測施設は破壊され、重要な水文気象データが全く得られていない状況が発生した。しかも、その後同地域の経済復興は進展しているものの、これまでメコン河流域国の水利用調整のための中核的国際機関であるメコン河委員会(MRC)の中においてさえ、水文気象観測網整備についての統一的な計画は十分に検討されてこなかった。特に、今後の同地域の開発計画の策定に当たっては、同委員会によって管理される基幹施設と流域国により管理される地方施設、その中間のものなどを定義し直す必要があり、さらに、統一基準のもとに多国間協力と二国間援助との間で重複をさけた効果的な各種観測網の整備が望まれる。そこで、ここでは同委員会のもとでの研究調査の一貫として、雨量計・水位計等の観測位置、観測網数、データ収集方法ならびに管理についての将来的な、また最終段階まで見越した計画の策定を試みた結果を示す。さらに、流量観測網に関して、現状を紹介しながら、日本が同委員会の活動をした流量観測網整備の重要性について議論する。ただし、本論ではメコン河上流には中国ならびにミャンマーが存在するものの、メコン河委員会に加盟している同河下流4カ国(タイ、ラオス、カンボディア、ベトナム)を主な対象域とする。
- 2010-02-00
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