系統間および系統内の変動係数からみた北海道の異なる気象地帯から収集されたシロクローバ系統の特徴
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
北海道は冬期の気象条件により道東を中心とする土壌凍結地域とそれ以外の積雪地域に大きく分けることができ、これらの2地域ではクローバ類を含む牧草類の越冬性の要因が異なることが知られている。そこで、本研究は土壌凍結地域と積雪地域の地域適応性に関わり差異が現れる形質の検討を行うことを目的に、島嶼部を除く北海道全域から収集された78地点のシロクローバ種子をそれぞれ収集系統として、代表的な市販6品種を加えて系統の特性調査を実施した。先ず系統間に有意な差が認められる形質を特定し、続いて形質に自然選択がかかる場合に系統間および系統内の変異が小さくなることを想定して、変動係数を収集系統と品種を比較して、小さくなった形質の絞り込みを行い、これらの形質について地域間の差を検討した。その結果、小葉長などの形態特性や開花日など延べ32形質のうち、節間長と1年目夏期の葉の密度の2形質を除き系統間に有意な差が認められた。これらの形質を収集系統と品種に分けて、系統間と系統内の変異を変動係数で比較したところ、系統間の方が変異の大きかった形質は収集系統で4形質と品種の10形質より少なかった。さらに、品種と収集系統の変動係数を比較したところ、系統間あるいは系統内のいずれかで収集系統の方が低くなった形質は22形質であった。これらの形質のうち葉の大きさに関わる形質を除く15形質、および収集系統の方が高い変動係数を示したものの地域適応性に強く関わると考えられる病害程度の2形質の計17形質について、葉の大きさグループ毎に土壌凍結および積雪地域収集の2グループ間に差が認められるかどうかを検定した。その結果、土壌凍結地域からの収集系統は1年目の夏の株の広がり、秋の葉の密度および秋の草勢、2年目の早春の萌芽および春の草勢の計5形質が積雪地域からの収集系統より低い傾向が認められた。これらの情報はそれぞれの地域に適した今後の品種育成に活かすことができると考えられた。
- 北海道農業研究センターの論文
- 2009-09-00
著者
関連論文
- 実験・調査における「繰返し」と「反復」の誤用
- 国内育成アルファルファ(Medicago sativa L.)品種群別のための秋季休眠性
- 土壌凍結地帯における畑地型酪農経営へのアルファルファ単播栽培の導入
- 永続性に優れる早生の2倍体アカクローバ「北海13号」
- 系統間および系統内の変動係数からみた北海道の異なる気象地帯から収集されたシロクローバ系統の特徴
- 北海道におけるアカクローバの品種育成の現状と今後の展望
- 暖地型アルファルファの札幌における生育反応
- チモシーと混播した地下茎型マメ科牧草ガレガの収量特性
- 他殖性牧草の多収品種育成の可能性(特集記事)
- 他殖性牧草の多収品種育成の可能性
- 試験成績・研究成果 寒さに強く,イネ科牧草に優しい放牧用小葉型シロクローバ新品種「北海1号」
- ガレガ草地のマメ科率向上(マメ科牧草ガレガ(Galega orientalis Lam.)の栽培利用法および今後の課題)
- 系統間および系統内の変動係数からみた北海道の異なる気象地帯から収集されたシロクローバ系統の特徴
- 寒さに強く,イネ科牧草に優しい放牧用小葉型シロクローバ新品種「北海1号」
- 牧草の生育に及ぼすコメ由来バイオエタノール蒸留廃液の影響(平成25年度年次講演会一般講演)