堰堤と渓流魚の共存は可能なのか?
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概要
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現在の河川上流域には、土砂災害を防止し森林を保全するため、治山事業や砂防事業により砂防堰堤、床固工、谷止工、流木止工などの河川横断工作物(以下「堰堤」という。)が多数設置され、渓流魚はこれらの堰堤により移動が阻害されている。また、堰堤上流側では、砂礫の堆積による環境の変化が生じている。これに加え堰堤による生息水域分断化の影響で、渓流魚在来個体群の絶滅が進行している。さらに、堰堤からの落下による衝撃の影響も指摘されている。これら堰堤設置に伴う影響の低減を図るため、国では魚がのぼりやすい川づくりモデル事業を平成3年度から実施し、堰堤に魚道を設置することを推進している。魚道を設置することで、渓流魚の移動阻害と分断化の影響は軽減できるものの、他の影響について改善されることはない。このようなことから、著者らは堰堤が渓流魚に与える影響について明らかにするため、堰堤と渓流魚の関係について継続して調査を行ってきた。本稿においては過去に行った、(1)堰堤設置による河床勾配緩和が環境に与える影響、(2)堰堤スリット化による上流側環境の復元、(3)透過型堰堤における魚道としての効果の3つの調査結果を概説した上で、堰堤と渓流魚の共存について検討を行う。
- 2009-08-00
著者
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