九州北東部におけるシマドジョウ属魚類の分布パターンとその成立過程に関する考察
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概要
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日本産シマドジョウ属魚類の分類は歴史的に混乱しており未だに決着を見ていないが、形態学的分類および核型・アロザイム・DNA分析等による遺伝学的研究結果を総合すると、従来、シマドジョウ、ヤマトシマドジョウ(またはタイリクシマドジョウ)、スジシマドジョウ、イシドジョウとよばれてきた4グループに区分でき、それぞれのグループが複数の独立種を含んでいることが明らかになっている。斉藤では、池田と整合させるため、従来のヤマトシマドジョウとスジシマドジョウのグループをタイリクシマドジョウ群とまとめ、それぞれをヤマトシマドジョウ亜群、スジシマドジョウ亜群に区分している。しかし、遺伝学的研究からヤマトシマドジョウのグループはシマドジョウとスジシマドジョウのグループの個体間の交雑を起源とする異質4倍体で、このグループの名称の根拠となったヨーロッパ産のタイリクシマドジョウとは全く異なるものであること、さらにmtDNA分析によりスジシマドジョウのグループとタイリクシマドジョウが近縁関係にないことが明らかになっていることから、タイリクシマドジョウ群として両者をまとめることは不適当である。本報告では、英語表記を基本として、それぞれの和名、学名をシマドジョウ種群、スジシマドジョウ種群、ヤマトシマドジョウ種群、イシドジョウ種群とよぶ。
- 日本魚學振興會の論文
- 2009-04-00