膵蛭(Eurytrema pancreaticum)が自然感染しためん羊における膵臓の病理学的所見
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概要
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膵蛭が自然感染しためん羊2例の膵臓について病理学的に検索を行った。膵臓は萎縮が顕著で、虫体の多数寄生により暗褐色の膵管が表面に隆起し、膵管腔が著しく拡張していたが、寄生領域は表面近くの大きな膵管に限られていた。虫体は大きさや口吸盤と腹吸盤の比率、精巣の形状から膵蛭(Eurytrema pancreaticum)と同定された。組織学的には拡張した膵管の粘膜上皮細胞は剥脱しているものが多く、粘膜固有層や粘膜下組織へは極く軽度の好酸球やリンパ球の細胞浸潤を伴っているのみで、粘膜上皮の過形成や膵管壁の肥厚もほとんど見られなかった。また、拡張した膵管周囲の膵実質組織は萎縮し、腺房細胞内の酵素原顆粒が減少していたが、小葉間結合組織は水腫性疎開が見られるのみで、膵管周囲および小葉間における結合組織の増生や細胞浸潤は軽度であった。このように膵組織の変性や炎症反応が極めて乏しいことから、今回観察された膵管および膵管周囲の病変は、虫体の慢性持続性の物理的な圧迫による変化と考えられた。
- 東海大学農学部の論文
- 2010-03-00
東海大学農学部 | 論文
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