膵吸虫(膵蛭)が寄生していた子牛膵臓の病理学的所見
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概要
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膵吸虫(膵蛭)の寄生を受けた子牛3例の膵臓について病理学的に検索を行った。主要な変化は膵管腔の拡張と結合組織の増殖を伴う管壁の肥厚であり、膵管周囲膵実質の萎縮と細胞浸潤を伴う小葉間結合組織の増殖などの病変が付随していた。そのほか膵管粘膜で上皮の腺性増殖や杯細胞の増数、固有層への軽度の細胞浸潤、リンパ装置の腫大活性化など虫体の刺激による炎症反応を伴っていた。これらの病変は、従来成牛で報告されているものが含まれていたが、膵管内肉芽組織の形成や膵管壁内や膵管周囲組織の虫卵結節、および広範囲の膵実質細胞の消失とそれに伴う結合組織の増生線維化による膵硬変像は確認できなかった。今回観察された病理変化は概して軽度であった。寄生していた虫体は、大きさや生殖腺の形態および感染後の発育状態を勘案すると成熟度は低いものと考えられた。したがって、膵吸虫寄生による子牛の膵臓病変は、初感染による幼若虫または若成虫によって引き起こされた初期の変化であることが示唆された。
- 東海大学農学部の論文
- 2009-03-00
東海大学農学部 | 論文
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