ラット頭頂骨骨膜下における rhBMP-2添加多孔性キトサン/ハイドロキシアパタイト複合体による骨形成
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概要
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【背景・目的】ハイドロキシアパタイト(HAp)は生体親和性と骨伝導性に優れた生体材料であるが,その硬さと脆性のため,望む形状に成形することが困難である.それゆえ,HApの欠点である成形性を改善するHAp/高分子の新規複合材料の開発に多くの関心が集まっている.キトサンは甲殻類の外殻などに含まれる天然高分子で,その生体吸収性や高い熱安定性などの性質から生体材料として注目されている.我々はこれまでに,多孔性キトサン/HAp複合体を作製し,歯槽骨再生材料に適した柔軟性のある物性を持つことを報告してきた.本研究では,この複合体の骨形成蛋白質(rhBMP-2)担体としての有用性を評価する目的で,ラット頭頂骨骨膜下埋入実験を行い,骨形成過程と担体複合体の吸収変化を組織形態学的に検討した.【方法】共沈澱法とポローゲンリーチング法により多孔性キトサン/HAp複合体を作製し,5μg のrhBMP-2を添加した.rhBMP-2無添加の複合体を対照として,10週齢のSDラット頭頂骨骨膜下に埋入し,4,8週後に屠殺し,組織学的観察および形態計測を行った.【結果】rhBMP-2添加多孔性キトサン/HAp複合体では,埋入4,8週後に複合体の周辺部から中央部にかけて多数の細胞侵入および骨形成が認められた.対照群では骨形成はみられなかった.形態計測した結果,埋入4,8週後における複合体の占有率はrhBMP-2添加群では対照群に比べ有意に減少し(p<0.05),骨形成に伴う複合体の吸収が認められた.【考察・結論】成形性や操作性の高い多孔性キトサン/HAp複合体は,rhBMP-2の担体として優れた骨形成能と生体吸収性を有することから,複雑な形態を呈する骨欠損部における生体材料として有用であることが示唆された.
著者
-
出村 誠
北海道大学・先端生命科学研究院
-
井上 農夫男
北海道大学大学院歯学研究科 高齢者歯科学教室
-
井上 農夫男
北大 院 口腔健康科学 高齢者歯科
-
赤澤 敏之
北海道立工業試験場材料技術部材料化学科
-
田中 順三
東京工業大学大学院理工学研究科/材料工学専攻
-
井上 農夫男
北海道大学病院高次口腔医療センター高齢者歯科
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