気管支喘息における高分解能CT(high-resolution computed tomography)による評価の有用性 : 岡山大学医学賞(砂田賞)を受賞して
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概要
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気管支喘息は気道の慢性炎症性疾患であり, 本質的に可逆性障害と考えられるが, 持続的慢性炎症によって生ずる肺実質を含む気道の器質的変化すなわち気道リモデリングが原因で不可逆性気流制限をきたし得ることが知られている. 最近, 高分解能CT (HRCT; high-resolution computed tomography) によって気管支壁肥厚, 気管支拡張, 気腫化, モザイク状低吸収域などの変化の評価が可能であることが報告されている. 気管支喘息患者の気道壁は健常者に比較して肥厚しており, その肥厚の程度は喘息の重症度, 気流制限, 気道反応性に関連していることが明らかになっている. 気道リモデリングを反映するHRCTの異常所見は, 慢性気流制限を有する重症喘息患者においてしばしば認められ, 長期の罹病期間や強い気道炎症と関係するとされている. 我々は, HRCTにおける-950Hounsfield unit (HU) 以下のlow attenuation area (RA(950)) は非喫煙喘息患者においても検出され, 気流制限, 肺気量, 喘息の重症度と相関しているが, 肺拡散能との有意の相関は認めないことを報告してきた. 最近, フラクタル解析によってRA(950)は, 喫煙歴を有する喘息患者では気腫性変化を示すのに対し, 非喫煙喘息患者では非気腫性変化 (過膨張) を示す可能性を示した. さらに, HRCTによって評価された気道壁肥厚およびRA950は, 治療によって改善することが認められており, HRCTは喘息の治療効果判定に有用である可能性が示唆された.
- 岡山医学会の論文
- 2005-01-31
著者
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