障害のある乳幼児とその母親の食事場面における相互作用行動の特徴 : 時間サンプリング法を用いた頻度分析
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概要
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本研究の目的は,障害のある乳幼児とその母親の食事場面における相互作用行動の特徴を理解し,より良い相互作用への援助の指針を得るために,相互作用の質を反映したコーディングカテゴリーを開発し検討することである.早期療育プログラムの一環である母子入園に入園中の中枢神経系の身体障害を有する9か月から3歳の9名の乳幼児とその母親の食事場面のビデオテープを,子どもの行動11,母親の行動19について10秒ごとにコーディングした.子どもの行動で頻度の高かったものは[覚醒],続いて<苦痛の合図>であった.苦痛の合図のうち,[発声や表情による苦痛の合図]が51.5%,[大きな身体の動きによる苦痛の合図]が46.6%であり,<苦痛の合図>のうち障害に関連したものは28.7%と<苦痛の合図>全体の3分の1を占めた.[母親を見る],[笑う],[発声・話す]などの<強化的合図>は25.4%であった.これらは,相互作用を強化・維持する行動であり,<苦痛の合図>が70%以上であったのに比べて低い頻度であった.ケースごとにみると,重度の痙直性脳性まひと重度の知的障害を合併した2例では,他の7例に比して強化的合図が少なく,子どもの障害が重度であるほど,相互作用を維持・強化する合図が少ないことが示唆された.重度の脳性まひの2例において,子どもの障害に関連した苦痛の合図が高頻度で示された.母親の行動の中では[子どもを見る],<話す・話しかける>などの頻度が高かった.子どもの発達を促すかかわりとしての<提供する・社会的な相互作用>は13.3%と低く,子どもの苦痛に対する肯定的な対応も25.8%と低く示された.母親の肯定的な,あるいは発達を促すかかわりの頻度は,重度の身体的・知的障害のある4例の子どもの母親において低く示された.これらのことから,重度な障害のある子の母親の食事場面における相互作用行動の改善の余地が示唆された.
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