寛永通宝の素材および劣化の研究
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概要
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我が国では中世より渡来銭を汎用しており、江戸時代になっても銭貨の統一はなされていなかった。そこで徳川幕府はそれまでの流通銭を取り締まり、統一をはかるため1636年(寛永13年)から寛永通宝を通用銭として使用を開始した。幕府の財政事情を記した史料には銭座・鋳銭時期・素材とその配合量が記録されており、また、『寛永銭譜』(いわゆる図録)としてまとめられている。寛永通宝は遺跡の発掘調査においてしばしば出土するほか、伝世品として今日まで伝え残されてきたものもある。また、古美術店などでも安価に入手できるため我々にとって身近な銭貨である。従来、考古学的には形態的特徴による研究が行われ、鋳出されている文字や文様の特徴をもとにした分類がなされてきたが、保存科学的にはあまり研究されていない。そこで、本論では第1のテーマとして伝世品と飛鳥坐神社(奈良県高市郡明日香村)出土の寛永通宝を蛍光X線分析法で素材を解明し、その含有量の違いから分類することが可能か否かを検討した。第2のテーマは寛永通宝の分析データを基にした銅製文化財における劣化の実態研究である。
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