非行からの少年の立ち直りに関する生涯発達的研究(Ⅵ)―「出会いの構造」モデルの検証―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
非行の原因に関する研究は多いが,立ち直りの研究は少ない。Moffittは生涯発達の観点から個人と環境との相互作用を重視した非行のライフコースを明らかにしたが,私たちは自伝分析により「出会いの構造」モデルを提唱した。このモデルによると,非行からの立ち直りのためには援助者となる人との出会いが必要であり,その出会いのためにはひたむきに物事に取り組む力と抑うつに耐える力が求められるとした。このモデルを実証するための質問紙調査を行ったが,モデルと合致する結果と合致しない結果が得られた。それらを検討した結果,立ち直りの基準の置きどころの吟味や少年と援助者の相互媒介的な行為過程の解明などが今後の課題として提案された。This study is to clarify a recovery from delinquency, although causes of delinquency have been traditionally studied. First, we examine Moffitt's model that shows interaction between individuals and environments to produce the stop of their crimes. Second, we examine Deai-no-Kouzou (Structure of Encounter) Model, by which we propose that delinquent juveniles encounter significant others and the encounters move them toward the prosocial life. It hypothesizes that a capacity to deal with things eagerly and to tolerate depression will lead juveniles to productive social encounters. Third, we examine the findings of questionnaire study with 110 delinquent juveniles that provides the results supporting the hypothesis but also negatively predicting it. Fourth, for the further study, what a recovery is and how they encounter with people who provide an assistance to recover in terms of their perspectives need to be examined.
- 2011-09-30
著者
関連論文
- 非行少年の無気力尺度作成
- 児童期の学校ストレスの実態と学校心理的ストレス尺度の作成
- 青少年に対する更生援助の処遇効果に関する検証--P-Fスタディを用いて
- 29 少年が非行から立ち直るのはなぜかを考える(自主シンポジウム)
- 不適応行動を起こす児童における自己像の形成過程に関する分析(発達を問う-生活に困難をかかえる子どもの支援を通して-)
- 非行からの少年の立ち直りに関する生涯発達的研究(Ⅵ)―「出会いの構造」モデルの検証―
- 学校における生徒指導・教育相談の事例分析(2)
- Juvenile delinquency and correctional treatment in Britain
- 学校における生徒指導・教育相談の事例分析(1)
- 人格障害の青年に対する短期面接過程 : 「境界例」的心性の青年が表現した自己破壊的攻撃行動の事例分析
- スクール・カウンセリングの課題と展望--学校心理学と臨床心理学の融合をめざして
- 現代少年非行の動向と分析--少年非行のマスコミ報道及び「増加・凶悪化」批判
- 少年鑑別所に勤務する立場から (特集 専門家から見た現代の子育て事情)
- 事例研究 犯罪・非行と人格障害
- PB319 学習性無気力(Learned Helplessness)伝説の検討
- シンナ-乱用少年の実態と分析
- 学校におけるスクールカウンセラーの活用とその展望
- (2)非行少年の被害経験が加害性に及ぼす影響(研究発表A)
- 続発する少年事件をどうみるか