「アリラン」の象徴性-金史良の「太白山脈」をめぐって
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概要
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戦時期の『国民文学』に1943年2月から10月にかけて連載された「太白山脈」は、金史良の唯一とも言える日本語による長編小説である。「太白山脈」は歴史に素材を求めた小説である。「太白山脈」に金史良の民族主義的な理想が描かれているということに異議を差し挟む先行研究はほとんどない。しかし、金史良の民族主義の中味については一度議論しておく必要がある。金史良にとって「民族的なもの」とは、支配者である王宮や両班階層の伝統的な儀礼や文化、信仰というより、もっとも底辺層にいる山民たちの生活や精神そのものであった。つまり、因習、迷信、貧困の中で生きてきた人たちの精神的支柱こそが、彼の言う「民族的なもの」なのである。その一例が「アリラン」の歌の登場である。「太白山脈」では「アリラン」の歌が六回にわたって歌われた。本論文では、「アリラン」の記号論的な意味を考慮に入れつつ、象徴的な記号体としての「アリラン」について分析を加えてみた。また、梨木洞の女性らによって歌われる「アリラン」の歌がテクスト全般に及ぼす意味作用についても併せて検討してみようとした。
- 2011-03-30
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