コミュニケーション形態がフォリナー・トークに及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
フォリナー・トーク(foreigner talk)はFerguson(1971)によって,接触場面において母語話者がとるレジスター(register/言語使用領域)のひとつとして特徴づけられたものである。当時は,コミュニケーションの形態という観点からみると,研究の対象はほとんどが相手を目の前にした対面によるものであった。しかし,昨今の科学技術の進歩は対面の枠に収まらない様々のコミュニケーション形態を生み出している。本稿では,空間も時間も共有しない,日本語母語話者と非母語話者の間でなされるメールという媒体を使ったコミュニケーションにおける母語話者の調整行動を取り上げ,これまで定式化されてきた日本語におけるフォリナー・トーク(ロング1992ab,1995)との比較を試みた。その結果,フォリナー・トークの特徴として指摘されていたもののいくつかが実は対面というコミュニケーションの形態によるものであることが分かった。コミュニケーション形態の違いに視点をおいたフォリナー・トーク研究の必要性が示唆された。Although 'foreigner talk' was examined and classified by Ferguson (1971), as one of the many registers used by a native speaker, the types of communication which were analyzed were basically limited to 'face to face' communication i.e. talking. However, with the development of technology, the way people communicate has also changed. We have moved beyond Ferguson's original research parameters. In this article, I will examine Japanese foreigner talk as it occurs in email and in 'face to face' communication. In doing this I will examine the differences between these two types of communication. Finally, I will discuss a few of the differences / phenomenon which occur in Foreigner Talk depending on the type of communication used. This discussion, I believe, will lead to the conclusion that we need to develop a research framework which considers a number of different communication types.
- お茶の水女子大学日本言語文化学研究会の論文
- 2004-11-20
著者
関連論文
- 留学生の日本語環境でのコンピュータリテラシーに関する一考察--中国系留学生の英語能力とコンピュータ用語理解より
- 多文化共生社会で期待される母語話者の日本語運用力 : 研究の動向と今後の課題について
- 「日本語教育環境マップ」作成の試み
- 在台湾日系企業駐在員の社内業務遂行上のコミュニケーション態度構造 (第38回[お茶の水女子大学]日本言語文化学研究会発表要旨)
- 初中級の日本語学習者を対象としたPCリテラシー授業の試み(第31回 日本言語文化学研究会 ポスター発表要旨)
- コミュニケーション形態がフォリナー・トークに及ぼす影響
- Foreigner Writingにおける語彙調整--日本人学生・留学生のメール交換より
- 接触場面における日本語母語話者の発話習性--話題管理の男女差に注目した一考察
- 日本人と中国人のビジネス・コミュニケーション及び習慣に関する意識調査--在中日系企業を対象に (第37回[お茶の水女子大学]日本言語文化学研究会発表要旨)
- 日本語のフォリナー・トーク研究 : その来歴と課題
- 地域定住外国人人材活用に向けた課題