免疫組織染色とinsituハイブリダイゼーション : その手法と病理組織診断における意義
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概要
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病理組織診断にはヘマトキシリン・エオジン染色が主に用いられ,この染色法は今日においても組織変化の判断の基準となるものである.ヘマトキシリン・エオジン染色は,ヘマトキシリンが酸化されたヘマティンとアルミニウムなどの金属のレーキが陽性に荷電した色素と,カルボキシル基をもち水溶液中で負に荷電したエオジンが,組織中の物質の荷電の状況によって結合する反応を基盤としている.上質な染色を施すと,両色素による染色性が階調豊かに表現され,形態のみならず,その性質をも反映した情報が得られる優れた染色法である.一方で,組織におけるより詳細な情報を得るために,様々な染色が考案された.色素の分子量の大きさを利用したものや,酸化還元反応その他の化学反応を利用したものなど,これらは組織内の物質のある性質に特化して情報を得るためのもので,特殊染色と呼ばれている.これらは現在でも病理組織診断や研究に利用されており,非常に有用なものであるが,ある特定の蛋白の有無など,生化学的な意味合いでの物質の同定には至らないものも多い.生化学的解析法のうち,ある特定の蛋白を検出する方法としてウエスタン・プロッティング法がある.また,特定の核酸を検出する方法としてサザン・プロッティング法,ノザン・プロッティング法がある.これらを,抽出された液状検体で行う電気泳動ではなく,組織切片上で行うものがそれぞれ免疫組織染色(IHC),insituハイブリダイゼーション(ISH)である.ここではこれらの手法とそれを用いる医療の場での現状を概説する.
- 福岡医学会,Fukuoka Medical Associationの論文
- 2006-03-25
著者
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